レモン【リフレッシュしたい、体の熱を冷ましたい時に】

鮮烈な酸味と豊かな香りが特徴のレモンは、気の巡りを促進し、消化を助け、体にこもった熱を冷ますとされています。特に春から夏にかけて、気温や湿度の変化でバランスを崩しやすい時期におすすめ。

体を冷やす性質もあるため、冷え性の方は摂りすぎや冷たい状態での摂取は控えましょう。

こんな人におすすめ
  • ストレスで気分が沈みがち
  • 食欲が落ちている
  • のぼせ・口の渇き・吹き出物が気になる
  • 夏バテしやすい
こんな人は注意
  • 冷え性で胃腸が弱い
  • 歯が敏感な方(酸による刺激)
  • 空腹時の摂取(胃への刺激が強すぎる)
目次

レモンの効能

主な働き

スクロールできます
薬膳的な効能詳細
生津(せいしん)津液を生み出し、体の潤いを保つ
止渇(しかつ)喉の渇きや口の乾き、体内の水分不足を潤す
解暑(かいしょ)暑さによる体のだるさや熱感を取り除き、体を涼しく保つ
和胃(わい)胃の働きを助け、消化を促進する
安胎(あんたい)流産のリスクを減らし、胎児の健やかな成長を助ける。
化痰(けたん)痰を排除する。

参照:『薬膳食典 食物性味表』日本中医食養学会 編著、『新版 毎日使える薬膳&漢方の食材事典』坂口珠未 著

帰経

胃・肺に作用し、ストレスによる消化不良や、乾燥が原因の不調をケアする。

薬効データ(性味・五味)

  • 性質:涼性(体の熱を冷ます)
  • 五味:酸味(収斂・生津)・苦味(清熱・解毒)※苦味は皮の部分

栄養学的な特徴

  • ビタミンCが豊富で、美肌・免疫サポートに◎
     
  • クエン酸で疲労回復を促進
     
  • ポリフェノールが含まれており、抗酸化にも寄与

相性の良い食べ合わせ

  • はちみつ:喉の潤いと相乗効果
  • 生姜:温性とのバランスで冷え対策に
  • 緑茶:抗酸化とリフレッシュ効果
  • ナッツ類:脂質とビタミンの吸収を助ける
  • 空腹時の摂取は胃への刺激が強くなるため、控えた方が良い

製菓材料としてのレモン

レモンは焼き菓子、ゼリー、ドリンク、グレーズなど幅広い用途に使われます。皮の香りと果汁の酸味を上手に使えば五感に刺激を与え、味と見た目の両方にアクセントを加えられます。

主な特性

  • 香りが強く、少量でも風味づけに効果的
     
  • 酸味が全体の味を引き締める
     
  • 色味も爽やかで、見た目のアクセントになる
     
  • 酸性度が高く、他のフルーツの色止めやジャム作りに使用される

お菓子に使うときのポイント

果汁・皮・ピールの使い分け

  • レモン果汁

酸味とさっぱり感を活かして、ムースやゼリー、チーズケーキなどに使用されます。酸味が強いため、甘さとのバランスを整えるのがポイントです。

  • ゼスト(レモンの皮)

果実の表皮の黄色い部分をすりおろして使います。香りがとても良く、焼き菓子やクリームの風味づけにおすすめ。苦味のある白いワタ部分は避けましょう。

  • レモンピール

皮を砂糖漬けにした加工素材で、表皮だけでなく内側の白いワタ部分も一緒に使われるため、独特のほろ苦さとふっくらした食感が特徴。製品によっては白い部分を取り除いて、苦味を抑えたタイプもあるので、仕上げたい風味に合わせて選ぶと良いでしょう。

農薬対策

皮を使う場合は無農薬レモンを使用し、塩でこすり洗いしてから削りましょう。

甘さとのバランス

酸味が強いので、メープルシロップやはちみつなど、コクのある甘味と合わせると優しい味に仕上がります。

色味と酸化対策

果汁は時間とともに酸化して色が濁りやすいため、使う直前に絞るのがベスト。また、酸味の影響で乳成分などのタンパク質が分離することもあるので、絞るタイミングに注意しましょう。

香りを活かすタイミング

皮や果汁の香りは熱で飛びやすいため、風味を活かしたい場合は最後に加えたり、仕上げにトッピングすると効果的です。

補助的な役割

レモン果汁は、お菓子づくりにおいて補助的な働きでも重宝されます。

  • フルーツの色止めに

レモンに含まれるビタミンCには抗酸化作用があり、切った果物の酸化を防ぎます。リンゴやバナナなどのカット部分にレモン果汁をかけることで、茶色く変色するのを防止できます。

  • ペクチンの働きを助ける

ジャムやゼリーづくりに欠かせないペクチンは、糖と酸が揃うことでしっかりとゲル化します。レモン果汁の酸が加わることで、果物に含まれるペクチンの作用を助け、しっかりと固まるジャムやゼリーに仕上がります。

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