りんご【脾を養い、潤いを与える】

「一日一個で医者いらず」と言われるほど、栄養素たっぷりのりんご。

薬膳では脾を補い、胃腸を整える作用があるとされ、消化不良や食欲不振に役立ちます。また、潤いを与えて肺を助け、咳やのどの乾燥にもよいとされます。

皮ごと食べるとポリフェノールや食物繊維がしっかり摂れるのも魅力。秋から冬にかけて体を優しく支えてくれる果実です。

こんな人におすすめ
  • 疲れやすく、胃腸が弱い
  • 便秘やお腹の張りが気になる
  • 乾燥による咳やのどの不快感がある
  • 美容やアンチエイジングを意識したい
こんな人は注意
  • 冷えやすく、水分代謝が弱い(食べすぎ注意)
  • 糖質制限中(果糖が多いため)
目次

主な働き

スクロールできます
薬膳的な効能詳細
健脾(けんぴ)胃腸を整えて消化を助ける
潤肺(じゅんぱい)肺を潤し、咳や乾燥をやわらげる
生津止渇(せいしんしかつ)口の渇きを癒す
通便(つうべん)腸を整え、便通を改善する
潤肺(じゅんぱい)肺の乾燥を改善する
益胃(えきい)胃の働きを助け、消化吸収機能や栄養補給を促す

帰経

脾・胃に作用し、消化を助けて体を潤す。

薬効データ(性味・五味)

  • 性質:平性(体を温めも冷やしもしない)
  • 五味:甘味・酸味(滋養・収斂)

食材データ

  • :秋〜冬(9月〜12月が最盛期)
      
  • 選び方:表面にツヤがあり、色が鮮やかでムラが少なく、皮にシワがないもの。手に持つと重みを感じるのは果汁が多い証拠。
     
  • おすすめの季節:秋〜春

空気が乾燥し始める時期にぴったり。りんごは「潤肺」「生津」の作用があり、のどや肺を潤して乾燥対策に◎

また、ビタミンCやポリフェノールを含み、免疫力のサポートや抗酸化に役立ちます。温かいコンポートや焼きりんごにすると、体も冷やしにくくなります。

また、気が乱れやすく、ストレスから胃腸に不調が出やすい春にもおすすめです。

栄養学的な特徴

  • 食物繊維(ペクチン):腸内環境を整え、便通を助ける
     
  • カリウム:余分な塩分を排出し、むくみを改善
     
  • ポリフェノール(プロシアニジンなど):抗酸化・美肌作用
      
  • ビタミンC:免疫力をサポート

食べ合わせ

相性の良い食べ合わせ

  • はちみつ:潤い作用を高め、咳止めに◎
  • シナモン:冷えを防ぎ、香りで消化を促す
  • ヨーグルト:整腸作用を強化、美肌に
  • くるみ:潤いと補腎作用をプラス
  • キャベツ:胃もたれや消化不良に
  • 人参:発熱時の栄養補給に

注意したい食べ合わせ

  • 冷たい飲み物:体を冷やしやすい
  • 砂糖の多いスイーツ:糖質過多になりやすい

製菓材料としてのりんご

りんごの主な特性

  • 甘味と酸味のバランス:品種によって幅があり、菓子の仕上がりを大きく左右する
     
  • 加熱による変化:生食ではシャキッとした食感だが、加熱するとやわらかくなり、甘味が増して香りが引き立つ
     
  • 水分量が多い:加熱すると果汁が出るため、生地とのバランスや水分調整が必要

お菓子に使うときのポイント

品種選び

甘酸っぱさを生かしたいなら「紅玉」や「ジョナゴールド」。
甘みをしっかり出したいなら「ふじ」や「シナノスイート」。

下処理の工夫

変色を防ぐため、レモン果汁をまぶします。煮る場合は砂糖を少し加えてコンポートにすると、風味と保存性がアップします。

加熱調理の相性

  • パイやタルト → バターとの相性が抜群で、香ばしさとジューシーさを両立
     
  • ケーキやマフィン → 角切りやすりおろしで生地に混ぜ込み、しっとり感をプラス
     
  • 焼きりんご → シナモンやはちみつ、ナッツと組み合わせると薬膳的にも◎

食感を生かすか消すか

シャキッと感を残したいときは短時間加熱、とろける口当たりにしたいときはじっくり煮込みます。

保存とアレンジ

ジャムやキャラメリゼにすると、酸味と甘味のバランスが長期間楽しめる。煮りんごやピューレにして冷凍すれば、いつでも使えて便利。

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