はちみつが結晶化する理由と、体質ごとの選び方

肺や腸を潤す作用があり、胃腸を優しく整えてくれるはちみつ。そのままでも、飲みものに溶かしても、薬膳のデザートやおやつによく使われる、身近で頼れる自然の甘味料です。

そんなはちみつですが、「いつの間にか固まっていた…」そんな経験はありませんか?

我が家のはちみつ。結晶化の状態が違います。

液体のままのものと、シャリシャリと結晶して白くなるもの。その違いには、実は花の種類や成分のバランスが深く関係しています。

今回は、はちみつが結晶する理由と、薬膳の視点から見た効能や体質別の使い方をご紹介します^^

目次

結晶化の理由① はちみつの糖のバランス

はちみつの主な糖は、ブドウ糖(グルコース)果糖(フルクトース)
この2つの割合によって、結晶のしやすさが変わります。

  • ブドウ糖が多いはちみつ → 水に溶けにくく、冷えると結晶化しやすい。
     
  • 果糖が多いはちみつ → 水に溶けやすく、液状を保ちやすい。

つまり、同じ温度でも、もともとの成分バランスによって「結晶する or しない」が決まるんです!

結晶化の理由② 花の種類

はちみつは、どの花から採れたかで性質が変わります。特に「結晶しやすさ」には次のような傾向があります。

花の種類特徴結晶しやすさ
レンゲ、菜の花、そばブドウ糖が多い結晶しやすい
アカシア、クローバー果糖が多い結晶しにくい

また、水分が少ない・花粉が多い・加熱処理されていないはちみつは、結晶しやすくなります。

つまり結晶化は「品質が落ちた」という意味ではなく、むしろ自然なままの状態である証なんですね^^

中医学で見るはちみつの効能

薬膳の世界で、はちみつ(蜂蜜)はこう考えられています:

  • 五味:甘味
  • 性質:平性(やや温寄り)
  • 帰経:肺・脾・胃・大腸
  • 効能:乾燥や便秘、のどの不調、胃腸の疲れが気になるときにぴったり
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薬膳的・体質別のはちみつの使い方

肺や腸を潤し、胃腸を整えてくれるはちみつは、体質に合わせたこんな使い方ができますよ。

スクロールできます
体質はちみつの使い方
陰虚(体の潤い不足)白湯や梨に混ぜて、肺を潤すように取り入れる
気虚(疲れやすい)朝のおかゆや蒸しパンにプラス。脾の働きを補う
便秘ぎみお湯に溶かして飲む、バナナやいちじくと合わせてスイーツに
胃腸が弱い加熱しすぎず、少量を食間や寝る前に摂るとやさしい

ただし、痰湿(むくみや湿気のたまりやすい体質)や糖代謝が乱れている場合は、量やタイミングに注意が必要です。その場合は、加熱せずそのまま使う・スパイスや柑橘と合わせるなどの工夫がおすすめです。

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結晶したはちみつ、どう使う?

結晶して白く固まったはちみつは、そのまま食べてもOK。
シャリっとした食感がアクセントになるので、ヨーグルトやトーストにもおすすめです。

なめらかに戻したい場合は、40〜50℃のぬるま湯で湯せんしましょう。

高温加熱(60℃以上)すると、薬膳的な「潤いを与える力」や酵素が損なわれるのでご注意ください。

はちみつの選び方

薬膳では、はちみつは「甘味と平性をあわせ持つ潤す食材」として重宝されます。

しかし現代では、加熱処理され過ぎていたり混ざり物が入っていたりで、効能が期待できないはちみつもたくさん出回っています。

せっかく自分の体に入れるのであれば、自然に近い効能が期待できるはちみつを選びたいものです^^

効能が期待できるはちみつを選ぶ場合は、以下の基準を参考にしてください。

加熱処理されていない「非加熱はちみつ」を

熱に弱い酵素やビタミンが壊れにくく、自然な風味が残っているのが特徴です。特に、内臓を潤したいときや、喉・肺を労わりたい場合におすすめです。

透明感があり、香りが自然なもの

結晶化していないのに濁っていたり、異様に甘すぎるものは、加糖されている可能性があります。はちみつ本来の風味が生きているものを選びましょう。

養蜂地がわかるもの(できれば国産)

できるだけ農薬の影響が少なく、蜂や環境が丁寧に守られている場所で採れたはちみつを選びましょう。

薬膳では、「その土地で育ったものは、その土地に暮らす人の体に合う」という「身土不二(しんどふじ)」の考え方があり、日本の気候や環境に適応した植物から採られている国産はちみつは、日本人の体質や四季の変化に自然と合いやすいといえます。

ただし、外国産でも徹底した管理のもと作られているはちみつもありますし、我が家では外国産も国産も愛用しています^^

農薬・抗生物質フリーが理想

数が限られますが、理想は農薬・抗生物質フリーのもの。これ、よく考えたら(考えなくても?)とても難しいんですよね。

蜂って、いろんな場所を飛び回りますよね。そのため、植物の栽培地だけを無農薬にするんじゃなくて、その栽培地を飛び回る蜂まで限定しなくちゃいけません。

「農薬・抗生物質フリー」を謳っていても、蜂にまでこだわっている商品はぐっと少なくなるんです。

だから、私ははちみつは蜂蜜療法家の友人から購入することが多いです。大分県に住んでいますが、郵送販売もしてくれるのでご興味がある方はメッセージされてみてください^^

はちみつは自然が生み出した季節の贈りもの

はちみつは、単なる甘味料ではなく、自然が生み出した季節の贈りもの。

本来は、ミツバチが自分たちのために集めるはちみつを分けていただくのですから、そんなことにも感謝して頂きたいですね^^

同じように見えて、

  • 糖のバランス
  • 花の種類
  • 体との相性

それぞれに違いがあり、だからこそ奥深く、面白いのです。

そのときの自分の体調や気分に合わせて、はちみつの種類や食べ方を選んでみる。

そんな小さな選択が、日々の心と体にやさしく響く薬膳の知恵なのです。

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