お菓子作りで欠かせない「泡立て」という工程。
実は、同じようにハンドミキサーで混ぜるのに、メレンゲと生クリームではハンドミキサーの動かし方が違うんです。
一言でお伝えすると、メレンゲはミキサーを動かすけど、生クリームはあまり動かさない方が上手に仕上がります。
この記事では、メレンゲと生クリーム、それぞれの泡のしくみと泡立てのコツを解説します。
メレンゲと生クリームの泡立つ仕組み
まず、泡立てるという作業は、単に空気を混ぜ込むことだけではありません。
泡立てる材料によって、空気を包み込む「しくみ」そのものが違ってくるのです。
メレンゲ(卵白)は、主に「たんぱく質」でできています。
一方、生クリームは「脂肪」が主成分。
この違いが、泡立てのスピードや道具の扱い方に大きく影響します。
メレンゲの泡立て:スピードと力が命

卵白は水分が多く、泡立て器で混ぜることで空気が取り込まれます。
同時に、取り込んだ空気を囲むように、卵白のたんぱく質が変化(これを“変性”といいます)し、泡の膜となって支える構造を作ります。
つまり、空気をしっかりと取り込んで、安定した膜を作ってあげる必要があるのです。
そのためには、泡立て器をしっかり動かして、空気をどんどん送り込むことが重要なんですね。
卵白の泡立てでは、ボウルや泡立て器に油分や水分が残っていないことも大切です。
脂があると、泡がうまくできません。
生クリームの泡立て:優しく静かに

一方、生クリームには、水分の中に脂肪球(小さな脂の粒)がたくさん含まれています。
泡立てると、脂肪球がぶつかり合いくっつきながら、空気を包み込んだ泡を作ります。
この泡は、メレンゲのようなシャープな膜構造ではなく、脂肪の塊同士がほどよく接着したやわらかいネットのような状態。
そのため、過剰に動かすとこのネットが壊れて、分離(バター化)してしまうのです。
生クリームは、冷たい状態のほうが脂肪が安定していて、泡立てやすくなります。
常温に戻してしまうと、脂肪が溶けて分離しやすくなるため、冷蔵庫から出したばかりの状態で泡立てましょう。
氷水をボウルの下にあてて冷やしながら泡立てると、状態が安定しやすくなります。
泡立て器の動かし方がまったく違う理由
ここまで読んでいただくと、泡立て器の動かし方が違う理由が見えてきますね。
つまり、空気を支える仕組みが違うから、泡立て方も変える必要があるんです。
うまく泡立てるコツは、材料の性質を知ること
同じ「泡立て」でも、材料が違えば、扱い方も仕上がりもまったく変わります。
そしてその違いを知っていくことは、お菓子作りの楽しさを何倍にも広げてくれます。
お菓子作りでは、感覚だけに頼らず、材料の特性を知ることが大切。
「なぜこの工程が必要なのか?」
「この素材はどういうふうに変化するのか?」
そんなふうに素材に対する理解を少し深めるだけで、自由度の高い楽しいお菓子作りができるようになりますよ^^