陳皮【気を巡らせ、余分な湿気を取り除く】

陳皮は、みかんの皮を乾燥させた伝統的な薬膳素材で、爽やかな香りとほのかな苦味が特徴です。中医学では、気の巡りを整え、胃腸の働きを助け、体内の余分な湿気を取り除くとされています。特に、食欲不振や消化不良、痰が絡む咳などの症状に効果的です。

こんな人におすすめ
  • ストレスで胃が張る、食欲が出ない
  • 食後にガスが溜まりやすい、ゲップが出る
  • 痰が多く、咳が続く
  • 湿気の多い季節に体が重だるい
こんな人は控えて
  • 体の潤いが不足している
  • 熱がこもっている
  • 疲れやすい
  • 妊娠中の方(特に妊娠初期は慎重に)
目次

陳皮の効能

主な働き

スクロールできます
薬膳的な効能詳細
理気(りき)気の巡りを整え、ストレスによる胃の不快感を改善する
健脾(けんぴ)胃腸の働きを助け、消化を促進する
燥湿(そうしつ)体内の余分な湿気を取り除き、むくみや重だるさを改善する
化痰(けたん)痰を取り除き、咳を鎮める

帰経

脾・肺を助けて気の巡りと水分代謝を整える。

薬効データ(性味・五味)

  • 性質:温性(体を温める)
  • 五味:辛味(気を巡らせる)・苦味(乾燥させる)

食材データ(旬・選び方・おすすめの季節)

旬:通年(乾物のため、通年手に入りやすい)

選び方:

  1. 色が濃く、香りが強いものを選ぶ
  2. カビや変色がない、乾燥状態が良好なものを選ぶ
  3. できれば無農薬のみかんの皮を使用する
  4. 乾燥期間が長いほど、薬効も高いとされている

おすすめの季節:冬〜長夏(晩夏〜初秋)

陳皮は気の巡りを良くする効果が期待できるため、乾燥が気になる時期以外は比較的取り入れやすい。体を温める性質があるが、夏は清熱・潤い食材(レモン、緑豆、豆乳、はちみつ、梨など)と組み合わせるとバランスがとれる。

栄養学的な特徴

  • ビタミンC:抗酸化作用があり、免疫力を高める
     
  • フラボノイド(ヘスペリジンなど):血流を改善し、毛細血管を強化する
     
  • 精油成分(リモネンなど):消化を促進し、リラックス効果がある
     
  • 食物繊維:腸内環境を整える

食べ合わせ

相性の良い食べ合わせ

  • 黒豆:腎を温めつつ水分代謝を整えることで、冷え・むくみ・疲労感のケアに◎
     
  • 生姜:W温性食材で、特に胃腸(脾胃)を助けてくれる
     
  • はちみつ:温性の陳皮に、潤肺・潤燥作用のあるはちみつを合わせることで、乾燥型の咳やのどの不快にもバランスよく対応可能
     
  • 大根:清熱化痰・理気の作用がある大根と陳皮の組み合わせは、咳や胸のつかえ、消化不良があるときに◎

注意したい食べ合わせ

  • 冷たい物・生もの:陳皮の温性と相反し、効果を弱める可能性がある
     
  • 辛味の強い食材:体を過度に温める可能性がある

製菓材料としての陳皮

爽やかな香りとほのかな苦味が特徴の陳皮は、焼き菓子や和菓子、パンなどに幅広く利用されています。粉末状にして生地に練り込んだり、細かく刻んでトッピングとして使用することで、風味を引き立てます。

主な特性

  • 爽やかな柑橘系の香りが特徴
  • ほのかな苦味が上品に甘さを引き立てる
  • 粉末や刻みなど、用途に応じた形状で使用可能

お菓子に使うときのポイント

香りを活かす工夫

陳皮の香りは加熱によって飛びやすいため、焼き菓子に使用する際は、焼成温度を控えめにするか、焼き上がり後にトッピングとして加えるのがおすすめです。

苦味とのバランス調整

陳皮の苦味を活かすために、甘さを控えめにしたレシピもよく合います(大人向け)。逆に、苦味が気になる場合は、はちみつや白あんなどの甘味と組み合わせると、バランスが取れます。

保存方法

陳皮は湿気を吸いやすいため、密閉容器に入れて冷暗所で保存しましょう。長期保存する場合は、乾燥剤を一緒に入れると良いです。

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