小豆【余分な水分を排出し、血を補う】

小豆の赤い色には「補血」、サポニンには「利水・排毒」作用があるとされます。薬膳では「心」「脾」「腎」に帰経し、むくみ・肌荒れ・疲れやすさなどにおすすめの食材。甘さとの相性も良く、和菓子や薬膳スイーツにも重宝されています。

こんな人におすすめ
  • むくみやすく体が重い
  • 肌荒れや吹き出物が気になる
  • 月経トラブルやPMSがある
  • 貧血ぎみ
  • 目の下にクマができやすい
  • 爪がボロボロ
こんな人は注意
  • 冷え性で下痢しやすい
  • 胃腸が弱く、豆類でお腹が張りやすい
  • 乾燥体質の方(過剰摂取に注意)
目次

主な働き

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薬膳的な効能詳細
利水(りすい)むくみを改善し、余分な水分を排出
解毒(げどく)体内の毒素を排出し、肌荒れ予防
補血(ほけつ)血を補い、貧血や月経トラブルをサポート
消腫(しょうしゅ)腫れ・腫れ物を消して体全体のバランスを整える

帰経

肝・脾・腎に作用し、むくみや疲労をケアしながら、血の巡りと水分代謝を整える。

薬効データ(性味・五味)

  • 性質:微寒〜平性(解毒作用があり、涼寄りの平性)
  • 五味:甘味・酸味・苦味(補う・解毒)

食材データ(旬・選び方・おすすめの季節)

  • 旬:収穫は秋(10月〜11月)だが、乾物として通年手に入りやすい
      
  • 選び方:粒がそろっていて、表面につやがあり、割れや虫食いがないもの
      
  • おすすめの季節:冬〜夏・長夏(湿度が高くなる時期)

小豆は体内の余分な水分を排出する作用があり、湿気によるむくみが気になる季節や、身体がこわばりやすく巡りが滞りがちな冬におすすめです。

ただし、寒がりで冷え性の人が冬に大量に摂ると、体を冷やしてしまう可能性が高いため、体を温める食材と一緒にとるようにしましょう。

栄養学的な特徴

  • カリウム:利尿作用でむくみ軽減
  • 鉄・葉酸:貧血予防、血を補う
     
  • サポニン:抗酸化・利尿・解毒作用
     
  • 食物繊維:腸内環境の改善に役立つ

食べ合わせ

相性の良い食べ合わせ

  • 黒ごま:補血・補腎効果を高める
     
  • もち米:消化しやすく、胃腸を助ける
  • はちみつ:うるおいを補い、甘さをやさしく調和
  • かぼちゃ:脾胃を補い、エネルギー補給に◎
     
  • 昆布:カリウム豊富で利尿作用の相乗効果
     
  • トマト:瘀血解消の相乗効果で、血流を良くする

注意したい食べ合わせ

  • 冷たい飲料や果物:お腹を冷やしやすい
     
  • 油脂が多いスイーツ:消化に負担がかかる
     
  • 他の豆類:豆類を食べすぎると消化に負担がかかる

製菓材料としての小豆

煮るだけで甘味を加えた餡にしやすく、優しい自然の甘さが活かせます。粒感を残すと食感も楽しく、見た目にも温もりが出ます。

主な特性

  • 自然な甘みとコクがあり、砂糖控えめでも美味しい
  • 煮崩れしにくく、形を活かした盛り付けが可能
  • 冷凍保存しやすく、作り置きに便利

お菓子に使うときのポイント

アク抜きはケースバイケース

一度下茹でしてから甘味を加えますが、アク抜きは目的によって使い分けましょう。

アク抜きの有無の違い
  • アク抜き無し:小豆の効能が高く仕上がりますが、小豆本来の雑味が残ります。
     
  • アク抜き有り:消化負担を減らし、すっきりとした風味に仕上がります

私はアク抜き無しが好みです^^

食感の調整

潰しすぎず、軽く粒を残すと満足感と食物繊維の働きを活かせます(粒あん)。

こしあんにしたい場合は、漉し器やミキサーでなめらかに調整します。

温冷の使い分け

冬は温かいお汁粉や蒸し菓子にすることで、冷え性の人でも体を冷やさず食べられます。

夏は羊羹・ゼリーやアイスなどで、涼性のスイーツに仕上げても良いでしょう。

甘味の調整

小豆本来の風味を活かすため、はちみつや甜菜糖など、優しい甘味料がよく合います。

また、天然塩を適度に加えることで、味が引き締まります。

あんこの効能

あんことあずきは素材としては同じ「小豆」ですが、薬膳的・調理的に見ると以下の違いがあります。

  • あずき(素材)は、より「利水・解毒・補血」の性質が活きる。
     
  • あんこ(加工品)は、加糖されることで「補気・補血」が強調されやすい。

一般的な白砂糖が使われているあんこは、甘味が追加されることで脾胃を補う作用が加わりますが、一方で、湿を生みやすくもなります。

「あずきは薬効中心、あんこは甘味と栄養補助」という役割の違いを意識すると使いやすいでしょう。

他にも、甘味料によってあんこの効能は異なります。

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甘味料主な効能特徴
白砂糖一時的に気を補うが、湿熱を助長しやすい常食すると脾胃に負担、控えめ推奨
てんさい糖補気・温中(体を内側から温める)北方産、冷え性の人におすすめ
きび糖補中益気・潤肺ミネラルを多く含み、優しい甘さ
はちみつ潤肺・生津・緩急止痛乾燥対策や喉の不快感に◎
黒糖補血・温中散寒冷え・血虚タイプに特に適している
米麹消化促進・健脾和胃・補気発酵によって消化吸収がスムーズになる
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