豆乳【喉の渇きや空咳に】

豆乳は、肺に滞った余分な熱を冷まし潤す作用があります。
喉の渇き、肌の乾燥に改善が期待できる食材です。

こんな人におすすめ
  • 喉の渇き、空咳、便秘(肺燥・陰虚)
  • 胃腸が弱い(気虚・脾虚)※少量であれば消化に優しく栄養吸収も◎ 取り過ぎは注意。
こんな人は注意
  • むくみやすい、胃が重い(痰湿)
  • 冷え体質(陽虚)
  • 大豆アレルギー

※胃腸が弱い人は、冷たいまま大量摂取すると胃腸を冷やす可能性があるため、温めて飲むのがおすすめです。

目次

豆乳の効能

主な効能

  • 補虚損(ほきょそん)
    体を全体的に補い、疲れやすい体や、ストレスや過労によるダメージを補強する。
     
  • 生津潤燥(せいしんじゅんそう):
    体液を生み出して、体の乾きを潤す。のどの渇き・乾燥肌・便秘にも◎
      
  • 和中健脾(わちゅうけんぴ)
    胃腸のバランスを整えて、消化吸収力を高める。食欲不振・胃のもたれに◎
     
  • 清熱解毒(せいねつげどく):
    体にこもった余分な熱を冷まし、炎症や毒素を鎮める。喉の痛みや吹き出物などに。
     
  • 利咽(りいん):
    咽頭部の腫れ物や痛みを除き、空気の出入りをスムーズにする。
     
  • 化痰(けたん):
    痰を排除する。

参照:『薬膳食典 食物性味表』日本中医食養学会 編著、『新版 毎日使える薬膳&漢方の食材事典』坂口珠未 著

帰経(主に作用する臓器)

  • 肺:肺を潤し、咳や喉の乾燥を防ぐ。
     
  • 胃:胃腸の調子を整える。
     
  • 大腸:便通を改善する。

薬効データ

  • 性味:平性(体を冷やしも温めもしない性質)
     
  • 五味:甘味(補う)

食材データ(旬・選び方)

  • 旬:原材料の大豆は9〜10月が収穫時期
    豆乳自体は一年中保存・加工されているため、通年手に入りやすい。
      
  • 選び方:
    調製豆乳は飲みやすいが添加物が多い。お菓子作りに使うなら、大豆固形成分9%以上の成分無調整豆乳がおすすめ。
      
  • おすすめの季節:春〜初夏・秋

特に春〜初夏におすすめ。春は気の巡りを整え、秋には潤肺・潤燥作用で乾燥対策に。ただし、冷えやすい人は冷たいままの摂取を避け、温性の素材と組み合わせましょう。

大豆は抗栄養素といって、動物に捕食されないための生物毒が豊富なため、「健康に良い」という理由で豆乳を積極的に摂るのはおすすめしません。
代表的なものがレクチンやサポニンと呼ばれるタンパク質で、加熱しても分解されないそうです。ただ、レクチンやサポニンは発酵の過程で分解されるため、味噌や醤油のような発酵食品で摂る分には問題ありません。

栄養学的な特徴

  • 植物性たんぱく質:筋肉や免疫力をサポート
     
  • イソフラボン:女性ホルモン様作用があり、更年期や月経不順のケアに◎
     
  • ビタミンB群:代謝サポート、疲労回復に効果
     
  • カルシウム・マグネシウム:骨の健康維持・神経の安定に寄与
     
  • 低脂肪&コレステロールフリー:大豆タンパク、サポニン、大豆イソフラボンが悪玉コレステロールを下げてくれる。

食べ合わせ

「相性が良いからたくさん食べても良い!」「相性が悪いから、絶対食べちゃダメ!」

というわけではなく、その時の食べる人の体質に合わせて調整することがポイントです。

豆乳と相性の良い食べ合わせ

  • 白きくらげ、梨、アボカド、はちみつ、くこの実:
    肺や喉、肌の乾燥、乾燥性便秘に◎
     
  • ラベンダー、カモミール、陳皮、甘夏、ジャスミン茶:
    肝の気を整えて、気巡りを助ける。ストレスやイライラに◎
     
  • 生姜、シナモン、黒糖、くるみ、米麹甘酒:
    冷えを緩和し、豆乳の潤い効果に温め効果をプラス。
     
  • さつまいも、かぼちゃ、山芋、とうもろこし、なつめ:
    疲れた消化機能を優しく補う。胃腸が弱っている時に◎
     
  • 黒ごま、ナッツ、松の実、黒豆:
    頭が疲れている・集中力不足の時に。アンチエイジングにも◎

豆乳と相性の悪い食べ合わせ

  • 冷たい果物(メロン・スイカなど):
    豆乳自体は体を冷やしも温めもしない平性だが、「陰を補う=冷やす作用」が少しあるため、冷えやすい体質にはNG。温かい豆乳にしたり、温性素材(生姜・シナモンなど)を加えたりすると◎
     
  • 酸味の強いフルーツ(レモン・柑橘):
    植物性タンパク質を多く含み酸と反応して分離・凝固しやすいため、未加熱時は注意。消化不良、胃もたれ、腹痛になることも。
    加熱したり、中和する素材(はちみつ・バナナなど)と一緒に組み合わせればOK!
     
  • 多量のカフェイン:
    豆乳に含まれる鉄・カルシウムなどの吸収を、カフェインが阻害する可能あり。摂取は30分〜1時間ずらすのが◎
     
  • 極端に辛い食材(唐辛子・花椒などの大量使用):
    豆乳は「優しく潤す」性質なので、辛味とぶつかりやすい。温性素材(生姜・にんにく)をほんのり香りづけ程度に使うと◎

症状別⭐︎豆乳ラテ

豆乳は加熱することで消化吸収がUP!

喉の渇き、空咳

はちみつ×豆乳

潤いアップ、喉ケアに◎

冷えが気になる人は、温かい状態でいただきましょう。
温めた豆乳+生姜 or シナモンで、胃腸を温めながら潤い補給も◎

便秘気味

さつまいも+豆乳

消化吸収を良くして、エネルギー補給にも◎

バナナ+黒ごま+豆乳

便通を良くして、腸内環境も◎

ストレス過多

ラベンダー+豆乳

カモミールティー+豆乳

両方とも、優しい香りに癒されながら気が整う組み合わせ♡

製菓材料としての豆乳

豆乳は、乳製品に代わる植物性素材として、近年製菓でも幅広く使われています。まろやかなコクと自然な甘みを持ち、スイーツにやさしい風味としっとり感をプラスしてくれる食材。

豆乳をうまく取り入れることで、植物性・低脂肪・ナチュラルなスイーツ作りが可能になります。乾燥対策や胃腸サポートにも役立つので、体調をいたわりながら甘いものを楽しみたいときにもぴったりの食材です。

豆乳の特性

  • たんぱく質と脂質をバランスよく含み、乳化・保湿性に優れる
  • やさしい甘みとコクがあり、ミルクの代替としても使える
  • 加熱するとやや凝固しやすく、プリンやババロアなどに応用できる
  • 水分量が多いため、焼き菓子では配合バランスに注意が必要
  • 癖が少ない無調整豆乳を使うと、素材の風味を邪魔しない

豆乳をお菓子に使うときのポイント

水分量に注意

豆乳は牛乳より水分が多く脂肪分が少ないため、そのまま代用すると生地が緩くなりがちです。置き換え比率は90〜95%程度を目安にし、場合によっては粉量を微調整したり、焼成時間をやや延ばす工夫が必要。

乳化に注意

豆乳は油脂と合わせるときに分離しやすいため、使用前に常温に戻しておきましょう。油脂は少量ずつ加えながら、しっかりと乳化させるのがコツです。温度差があると分離しやすいので注意が必要。

加熱と凝固性

豆乳は加熱するとたんぱく質が変性し、とろみや凝固感が出ます。プリンやムース作りでは、弱火で丁寧に加熱することでなめらかに仕上がります。ゼラチンや寒天を併用すると、より安定した食感が得られます。

風味を引き立てる工夫

豆乳独特の青臭さが気になる場合は、バニラ、シナモン、柑橘ピール、はちみつなどをプラスして風味を調えましょう。ナチュラルな甘みを活かすと、豆乳らしい優しい仕上がりになります。

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