ドロドロ血で動けない「瘀血(おけつ)」の特徴とケア

瘀血(おけつ)とは、「血(けつ)」の流れが滞り、うまくめぐっていない状態です。

それは「血液そのものの質の低下」だけでなく、「血行不良」「血がどこかに偏っている状態」も含まれます。

血は、全身に酸素や栄養を運ぶだけでなく、体温を保ち、老廃物を回収する役割も担っています。この巡りが悪くなると、老廃物が溜まり、細胞がうまく生まれ変わらず、「滞り体質」に。

また、瘀血の人は、体だけでなく気持ちも“停滞しやすい”傾向があります。

やる気が出ない、気持ちが重たい、何かをスタートさせるのが億劫…、という場合も、血の巡りが関係しているかもしれません。

目次

瘀血タイプによく見られる症状

  • 慢性的な肩こり・頭痛・腰痛
  • 下半身が冷える/足がむくむ
  • 目の下のクマ/顔色がどす黒い
  • シミ・そばかすができやすい
  • 月経痛が重い/血の塊が出る
  • 子宮筋腫・卵巣嚢腫などの傾向
  • 唇や舌が紫がかっている
  • 気分が重く、切り替えが苦手
  • イライラや鬱々とした感情
  • あざができやすい・治りにくい

「これくらいはみんなある」と見過ごされやすい瘀血ですが、慢性的な不調や女性特有の症状に密接に関わっています。

瘀血の主な原因

冷え・運動不足

血は温かさで巡るもの。
身体を冷やす食事、薄着、運動不足などが重なると、血はどんどん滞ります。

ストレス・気滞

気の巡りが悪くなると、血も流れにくくなります。
気滞と瘀血はセットで現れることも多く、感情の詰まりが巡りの詰まりに直結します。

加齢・出産・慢性病後

年齢を重ねると血の巡りは自然に滞りがちに。
また、出産・手術・長期療養のあとも、瘀血に傾くことがあります。

食生活の偏り

脂っこいもの・甘いもの・添加物の多い食事は血の“質”を落とし、滞りを助長します。

瘀血タイプと五臓の関係

瘀血は主に「肝(かん)」と「心(しん)」、そして「腎(じん)」との関係が深く、五行では「木・火・水」のバランスに関わります。

肝(かん)

血の貯蔵・排出をつかさどる臓器であり、気血の巡りの要。
肝の働きが鈍ると血も滞りやすくなり、感情の抑圧やストレスも悪化します。

心(しん)

血を全身に送り出す中枢。
心の不調は動悸や不眠だけでなく、瘀血の間接的な原因にも。

腎(じん)

血を補い、生命力の源となるエネルギーを持つ臓器。
腎が弱ると、血の質も巡りも衰え、瘀血体質が固定化しやすくなります。

瘀血タイプにおすすめの食養生

瘀血の改善には、血の巡りをよくする「活血(かっけつ)」食材と、身体を冷やさない温性の食材を取り入れることがポイントです。

とくに、香り・色・温かさを持つ食材が有効です。

また、ドロドロ血を避けるためにも、甘いものや脂っこいものの摂りすぎには注意しましょう。

体を温め血の巡りを良くする食材

働き食材
血行促進黒豆、たまねぎ、青じそ、にんにく、しょうが、紅花
温めるシナモン、ねぎ、陳皮、黒きくらげ
血を補うにんじん、なつめ、レバー、赤身肉、プルーン
デトックスれんこん、山芋、にら、ごぼう

瘀血の改善に向けたメニュー例

  • 黒豆と玉ねぎのスープ
  • にんじんとレバーの炒め物
  • プルーン入りのシナモン煮りんご
  • 黒きくらげとごぼうの温サラダ
  • なつめとしょうがの薬膳粥

控えたいもの

  • 冷たい飲み物や生野菜(サラダ中心の食事)
  • 加工食品・トランス脂肪酸・過剰な動物性脂肪
  • 甘いもの・チョコ・揚げ物の食べすぎ

“温めて流す”を意識して、身体の中からめぐりをサポートしましょう。

瘀血タイプに合った暮らし方

瘀血タイプの人は「冷え・固まり・停滞」しやすい傾向があるため、生活の中でも“温めて、流して、解く”をキーワードにしましょう。

おすすめの習慣

  • 温活: 湯船に浸かる・腹巻やカイロ・足湯などで深部を温める
  • 朝のストレッチ: 軽く体をねじる動作で巡りスイッチを入れる
  • 軽い汗: 軽い有酸素運動や岩盤浴で血行促進
  • 香りでリラックス: ローズ・ゼラニウム・シナモンなど甘く温かな香り
  • 気持ちの“詰まり”をほぐす: 日記・感情の吐き出し・カラオケ・深呼吸など

また、日々の「悩み・怒り・我慢」の蓄積も、血の流れを止める原因になります。
感情の詰まりを“書いて流す”だけでも、身体が軽くなることがあります。

瘀血は “温めて動かしてほしい” 身体からのメッセージ

瘀血は、目に見えない“滞り”が蓄積した結果。血が流れないと、心も体も動けなくなっていきます。

でもそれは、「動きたいのに動けなかった」あなたの過去そのもの。

冷やしすぎてしまった日々、抱えすぎていた思い、自分を止めていた過去。

どれもが、今の「流れにくさ」を生んでいるのかもしれません。

だからこそ、瘀血ケアは「わたしを温め直すこと」から始まります。

まずは、ゆっくり湯船に浸かる。
朝の白湯を飲む。
冷蔵庫の水の代わりに、ハーブティーを沸かす。

ほんの少しでも、「温めて流す」ことができれば、血も、心も、また動き出します。

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