
ハトムギは、古くから薬膳や漢方で用いられてきた穀物で、胃腸の働きを助け、体内の余分な水分を排出する作用があります。中医学では、むくみや肌荒れ、関節のこわばりなどの改善に役立つとされています。また、肌の新陳代謝を促進し、美肌効果も期待できます。
こんな人におすすめ
- むくみやすく、体が重だるい
- 胃腸が弱く、食欲不振や下痢をしやすい
- 肌荒れやニキビが気になる
- 関節のこわばりや痛みがある
こんな人は注意
- 冷えやすく体力が低下している
- 体の潤い不足(陰虚)
- 妊娠初期(ハトムギは排出する力が強いため、流産の恐れがある)
目次
ハトムギの効能
主な働き
スクロールできます
薬膳的な効能 | 詳細 |
---|---|
健脾(けんぴ) | 胃腸の働きを助け、消化吸収を促す |
利水滲湿(りすいしんしつ) | 体内の余分な水分を排出し、むくみを改善する |
清熱排膿(せいねつはいのう) | 熱を冷まし、膿を排出する |
止瀉(ししゃ) | 下痢を止める |
帰経
脾・胃・肺に働きかけ、消化吸収を助けながら、体内の余分な湿を取り除きます。皮膚のトラブルやむくみ、湿気によるだるさを改善し、体を軽やかに整えます。
薬効データ(性味・五味)
- 性質:涼性(体の熱を冷ます)
- 五味:甘味・淡味(補気・利湿)
食材データ(旬・選び方・おすすめの季節)
旬:夏〜秋(7月〜9月頃に収穫されるが、乾燥品として通年利用可能)
選び方:
- 粒が大きく、ふっくらとしているもの
- 表面に傷や変色がないもの
- 湿気を避け、密閉保存されているもの
おすすめの季節:長夏(梅雨時期、晩夏〜初秋)
湿気が溜まりやすい季節に特におすすめ。体内の余分な湿を排出し、胃腸の調子を整えます。秋には乾燥による肌荒れ対策としても役立ちます。冷たいまま摂ると体を冷やしやすいため、温かいお粥やスープ、お茶として取り入れるのもおすすめです。
栄養学的な特徴
- 炭水化物:エネルギー源として優秀
- タンパク質:13.3g/100gと豊富
- ビタミンB群:代謝をサポート
- ミネラル(カリウム・マグネシウム):むくみや筋肉の働きをサポート
- 食物繊維:腸内環境を整える
食べ合わせ
相性の良い食べ合わせ
- 小豆・緑豆:熱を冷まして水液代謝を促進する働きがあるため、ハトムギとの相乗効果でむくみや炎症・熱感・滲湿物などを伴う肌荒れ改善に◎
注意したい食べ合わせ
- 冷たい飲み物:体を冷やしすぎる
- 高脂肪の乳製品:消化に負担がかかる
製菓材料としてのハトムギ
ハトムギは、粉末や粒のまま製菓材料として利用できます。特に炒りハトムギは、香ばしい風味と独特の食感が特徴で、お菓子の栄養価を高めつつ、味わい深い仕上がりになります。
主な特性
- 香ばしい風味があり、焼き菓子に適している
- 粉末状のものも売られており、扱いやすく、さまざまな生地に混ぜ込みやすい
お菓子に使うときのポイント
下処理を丁寧に
乾燥ハトムギの状態だと硬くて消化しづらいため、一晩水に浸してからやわらかく炊くのが基本です。圧力鍋を使うと時短になります。
また、今は炒った状態のハトムギも販売されています。香ばしい風味で、下処理なしで手軽に食べられるため、私自身もよく利用しています。
粉末状にすれば、粉類の一部を置き換えてクッキーやパウンドケーキにも。香ばしい風味としっとり感が加わります。
水分調整に注意
ハトムギ粉は水分を吸いやすいため、生地が硬くなりすぎないように水分量を調整しましょう。特に焼き菓子では、牛乳や豆乳や卵の量を加減するのがポイントです。