
バターは乳脂肪を凝縮した濃厚な乳製品で、中医学では潤いや血を補うとされています。乾燥対策に役立ち、秋〜冬の寒い季節におすすめ。
現代栄養学的にも脂溶性ビタミンが豊富で、エネルギー源としても優秀。ただし、過剰摂取や冷えた状態での摂取は消化に負担をかけるため、量や調理法には工夫が必要です。
- 肌や髪の乾燥が気になる
- 空咳が出たり声がかすれたりと、喉の乾燥が気になる
- 脂質代謝に不安がある(高脂血症など)
- 湿熱・痰湿体質(体が重だるくむくみやすい)
- 動物性脂肪を控えたい
- 乳アレルギー
バターの効能
主な働き
薬膳的な効能 | 詳細 |
---|---|
補五臓(ほごぞう) | 五臓の機能を補い、弱っている五臓を助ける |
填髄(てんずい) | 身体の基礎となる「精」や「髄液」を補充する |
補血(ほけつ) | 血を補い、肌や髪に栄養を与える |
活血(かっけつ) | 血流を改善し、巡りをスムーズにする |
滋陰(じいん) | 体の潤いを保ち、のぼせや乾燥を和らげる |
潤燥(じゅんそう) | 体内を潤して乾燥症状を改善する |
参照:『薬膳食典 食物性味表』日本中医食養学会 編著、『新版 毎日使える薬膳&漢方の食材事典』坂口珠未 著
帰経
肺・脾・肝・腎・大腸に作用し、呼吸器や消化器に作用し、血の巡りをサポートする。
薬効データ(性味・五味)
- 性質:涼性〜平性(体に潤いを与える)
- 五味:甘味(補う、緩める)
食材データ(旬・選び方・おすすめの季節)
- 旬:通年(保存性が高く、冷蔵保存で安定供給が可能)
- 選び方:無塩バターや発酵バターは香りが良く、焼き菓子向き
- おすすめの季節:秋〜冬の寒さが厳しい時期に。乾燥や冷えのケアに◎(冷えやすい人は要加熱調理)
栄養学的な特徴
- 脂溶性ビタミン(A・D・E)が豊富で、粘膜や皮膚の健康を守る(ビタミンAは油脂中トップ)
- 80%が乳脂肪分で高エネルギーだが、コレステロールは少ない
- 短鎖脂肪酸が腸内環境を整える助けに
食べ合わせ
「相性が良いからたくさん食べても良い!」「相性が悪いから、絶対食べちゃダメ!」というわけではなく、その時の体質に合わせて調整することがポイントです。
相性の良い食べ合わせ
- さつまいも:補気・整腸作用
- りんご:潤肺・整腸作用
- 卵:補血・滋養強壮
注意したい食べ合わせ
- 油っこいもの:脂質過多で消化に負担
- 冷たい飲み物・生野菜や生フルーツ:消化機能を弱める可能性
製菓材料としてのバター
バターは製菓において、風味・食感・構造のすべてに影響を与える重要な素材で、焼き菓子においては香りの決め手ともなります。また、生地に加えることで油脂が粘り気の形成を抑え、ほろほろ・サクサクとした食感を生み出します。
種類によっても仕上がりに違いが出ます。
例えば、
- 発酵バターは風味が豊かで、フィナンシェやガレットなどに最適。
- 無塩バターは味のコントロールがしやすく、洋菓子全般に使いやすい。
常温で柔らかくしたバター(ポマード状)を使うか、溶かしバターにするかでも仕上がりに変化が出るため、レシピに応じた使い分けが重要です。
主な特性
- 焼くことで香ばしい風味が引き立つ
- 空気を含ませやすく、ふんわりした仕上がりに
- 他の甘味・香り素材と相性が良い
お菓子に使うときのポイント
温度で変わる仕上がり
バターの状態(冷たい・柔らかい・溶かす)で仕上がりが大きく変わります。
クッキーは室温に戻してクリーム状にすることで空気を含み、軽くサクサクした食感に。
ケーキ類は溶かしバターを使うと、しっとりとした口当たりになります。
乳化の重要性
バターと卵などの液体をしっかり乳化させることで、生地の分離を防ぎ、均一な焼き上がりになります。
乳化がうまくいかないと、油っぽくなったり、ふくらみが悪くなったりします。
風味を活かすアレンジ
バターを焦がして焦がしバター(ブールノワゼット)にすると、ナッツのような香ばしさが加わり、焼き菓子に深みが出ます。
ハーブやスパイス(ローズマリーやシナモンなど)をバターに加えて香りづけするアレンジも◎
保存と再利用
余ったバターは冷凍保存が可能です(薄くスライスしてラップすると便利)。
型に塗って焼き色を出す「離型バター」としても活用できます。