​黒胡麻【乾燥対策、アンチエイジングに】

​黒胡麻は、古来より“食べる漢方”とも称されており、身体を内側から整える力強い存在として知られています。

肝の血を補い、腎に生命エネルギーを蓄えてくれる、とても滋養強壮効果が高い食材。

日々の食事に“ちょっと加える”だけでも、体の内側からの変化をサポートしてくれます。

こんな人におすすめ
  • 乾燥が気になる、肌や髪の潤い不足を感じる(陰虚)
    →体の潤いを補い、乾燥からくる肌や髪のトラブルを和らげる。
     
  • 貧血気味、疲れやすい、めまい、顔色が優れない(血虚)
    →血を養う働きがあり、貧血の予防や改善に役立つ。
  • 足腰が冷える(腎陽虚)
    →腎の働きをアップ​し、体を温める。
     
  • 老化予防やアンチエイジングに
    →抗酸化作用のあるセサミンを含み、老化防止に寄与。
こんな人は注意
  • 下痢をしやすい、胃腸が弱い(脾気虚)
    →黒胡麻は油分が多いため、消化不良を引き起こす可能性あり。
     
  • 体内に余分な湿気や熱がこもりやすい(湿熱・痰湿)
    →黒胡麻の温性が症状を悪化させる可能性あり。
目次

​黒胡麻の効能

主な効能

  • 滋陰(じいん):
    体の陰液(潤い)を補い、乾燥を防ぐ。
     
  • 養血(ようけつ):
    血を増やし、血行を促進する。
      
  • 補腎(ほじん):
    腎の機能を高め、老化防止や精力増強に◎
     
  • 養肝(ようかん):
    肝の主な役割である、血の貯蔵・気血の流れの調整を助ける。
     
  • 潤腸通便(じゅんちょうつうべん):
    腸に潤いを与え、自然なお通じを促す。
     
  • 益精(えきせい):
    精(じんせい)を補い、アンチエイジングに◎

参照:『薬膳食典 食物性味表』日本中医食養学会 編著、『新版 毎日使える薬膳&漢方の食材事典』坂口珠未 著

帰経(主に作用する臓器)

  • 肝:血を蓄え、全身の機能を調整する。
     
  • 腎:生命エネルギーを蓄え、成長や老化に関与する。

薬効データ

  • 性味:平性(体を温めも冷やしもしない性質)
     
  • 五味:甘味(補う)

(旬・選び方・おすすめの季節)

  • 旬:9〜11月
    乾物(種子)なので、酸化に注意すれば長期保存が可能。そのため、通年手に入りやすい。
      
  • 選び方:
    粒がふっくらとして大きさが均一で、色が濃いもの。
  • おすすめの季節:冬・秋・春

特に冬におすすめ。黒ごまは補腎・補血・補精に優れ、寒さに弱い体を内側から支えてくれます。白髪・乾燥・腰痛・疲労感が気になる時期に。秋の乾燥ケアや、春の補血にも活用可能。 

  • 白胡麻との違い
スクロールできます
黒胡麻白胡麻
香り・風味香ばしくコクがあるマイルドで甘みがある
消化性やや重め(脾虚には注意)比較的軽め(万人向け)
薬膳的な効能補腎・養血・潤腸・養肝・益精
肝と腎をサポート、美容・老化予防に◎
生肌・潤腸・通便・健脾
脾と肺をサポート、疲労時の回復に◎
栄養学的な特徴セサミン・アントシアニンが豊富で、
抗酸化作用が高い。
カルシウムやビタミンB群を含み、
骨の健康をサポートする
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栄養学的な特徴

  • セサミン:強い抗酸化作用を持ち、老化防止や生活習慣病予防に◎
     
  • カルシウム:骨や歯の健康維持に必要なミネラルを豊富に含む。
     
  • 鉄分:貧血予防に◎
     
  • ゴマリグナン:体内の脂質の酸化を防止。

食べ合わせ

「相性が良いからたくさん食べても良い!」「相性が悪いから、絶対食べちゃダメ!」

というわけではなく、その時の食べる人の体質に合わせて調整することがポイントです。

黒胡麻と相性の良い食べ合わせ

補腎・補血・巡り・潤腸系が基本的に相性◎

  • なつめ:
    黒胡麻で腎を補う+なつめで血と潤いを補う、相乗効果◎
     
  • 黒豆:
    腎を補うコンビでアンチエイジングに◎
     
  • 黒糖:
    体を温め巡りを助けて、補う力を底上げ◎
     
  • 山芋(長芋):
    消化を助けながら気も補ってくれる
     
  • 卵:
    黒胡麻の栄養吸収を卵がサポート
     
  • くるみ:
    便秘対策や滋養強化に最強コンビ

黒胡麻と相性の悪い食べ合わせ

ごま自体が「油分+濃厚」なので、“重ね油・冷え・甘過ぎ”には注意!

  • 冷たい牛乳(多量):
    黒胡麻は脂質が多く、冷やすと凝固・消化不良になる可能性あり。
    温めて使うか、豆乳やオーツミルクで代用するのがおすすめ。
     
  • 脂質の多い肉類・揚げ物:
    ごまの油分+外部油分で胃腸負担大。湿熱悪化の恐れ。
     
  • 乳製品+砂糖(多量):
    黒胡麻はコクがあるため、重たくなりやすい。

症状別⭐︎簡単レシピ

胡麻は粒で食べると消化吸収が悪いため、殻をすりつぶしてすりごまや練りごまにして頂くのがおすすめです。

貧血、冷え、疲れやすい

黒胡麻とほうれん草の和え物

血を補う黒胡麻とほうれん草で貧血対策に◎

材料(2人分)

  • ほうれん草 … 1束
  • 黒すりごま … 大さじ2
  • 醤油 … 小さじ1
  • みりん … 小さじ1
  1. ほうれん草を茹でて冷水にさらし、水気を絞って適当な長さに切る。
  2. 黒すりごま、醤油、みりんと和えて完成!

冷えが気になる人は、温かい状態でいただきましょう。
温めた豆乳+生姜 or シナモンで、胃腸を温めながら潤い補給もできます♩

肌の乾燥、便秘

黒胡麻きんぴらごぼう

材料(2人分)

  • ごぼう … 1/2本
  • にんじん … 1/2本
  • 黒すりごま … 大さじ1
  • ごま油 … 大さじ1
  • 醤油 … 小さじ1
  • みりん … 小さじ1
  • 白すりごま(仕上げ) … お好みの量
  1. ごぼう・にんじんを細切りにし、水にさらす。
  2. 野菜をごま油で中火で炒め、火が通ったら調味料を加えて味をなじませる。
  3. 火を止めてから黒すりごまを加え、ざっくり和えて完成。

喉の乾燥、空咳

黒胡麻豆乳ラテ

材料(2人分)

  • 豆乳 … 400ml
  • 黒すりごま … 20g
  • はちみつ … 大さじ2〜3
  1. 小鍋に豆乳400mlと黒すりごま入れ、軽くふつふつしたら火を止める(温めすぎに注意)。
  2. はちみつを加えて混ぜ、溶かしたら完成!

製菓材料としての黒胡麻

黒胡麻は、香ばしい風味と濃厚なコクを持ち、製菓でも広く愛用されている素材です。小さな粒に豊かな栄養が詰まっており、スイーツに深みのある味わいと、香ばしさをプラスすることができます。

特に黒胡麻は、その独特のコクと香りで、黒胡麻の風味を生かした重めのお菓子にぴったり!体にエネルギーを与え、乾燥や冷え対策にも役立つため、季節の変わり目の養生おやつにもおすすめです。

黒胡麻の特性

  • 高脂肪・高たんぱくで、シンプルな生地にもリッチなコクを与える
  • 香りが強く、焼き菓子や生菓子に風味をしっかり残す
  • 焙煎することで香ばしさが増し、甘味との相性が良くなる
  • 粉砕してペースト状にすると、クリーミーな口当たりになる

黒胡麻をお菓子に使うときのポイント

焙煎・粉砕して香りを引き出す

黒胡麻は軽く焙煎することで、香りと甘みがぐっと引き立ちます。使う直前に炒ったり、ミルで細かく挽いて使用すると、より濃厚な風味のお菓子に仕上がります。

油脂分を活かす

黒胡麻にはもともと豊富な油脂が含まれているため、バターやオイルの一部を減らしてもコクを出すことができます。クッキーやケーキでは、黒胡麻の脂質を考慮して配合すると、軽やかにまとまります。

水分量に注意する

粉砕した黒胡麻(すりごまやペースト)は水分を吸収しやすく、生地を硬くしがちです。生地に練り込む際は、豆乳や牛乳などで水分量を微調整すると、しっとりした食感が保てます。

風味を活かした組み合わせ

黒胡麻は、きなこ、あんこ、甘酒、ナッツ類、黒糖など、香ばしくコクのある素材と好相性です。自然な甘さを引き立て合い、バランスの良いスイーツが作れます。

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