沖縄に行ってきました。
海の青さと空の広さに包まれて、自然と、深呼吸が増える日々でした。

その中で特に印象的だったのが、「沖縄の料理って、薬膳的にも理にかなってる!」ということです。
沖縄って海に囲まれているのに、魚よりも豚肉料理が多いので不思議に思っていましたが、その理由を薬膳の観点から考えたら納得!
かつて、沖縄は男女ともに平均寿命が日本一だったのにも頷けました。
豚は、乾いた体に潤いを与えてくれる
沖縄のように亜熱帯で高温多湿な地域では、体に「湿熱(しつねつ)」が溜まりやすいです。さらに、汗をかいて体の水分が外にも出やすい環境。
そのため、体の乾きも湿気も、バランスよく整えてくれる食事が大切です。
体を潤してくれる魚
沖縄でよく取れるお魚といえば…
- グルクン(タカサゴ):沖縄の県魚。涼性で、消化がよく胃腸にやさしい
- ミーバイ(ハタ類):中庸。補気と補陰のバランスがよく、疲労時にも◎
- イラブチャー(ブダイ):寒性で、清熱や体内の余分な熱を冷ます
- タマン(ハマフエフキ):涼性。潤いながら、体内の火照りを静めてくれる
こうした魚は、体の熱を冷ます・潤す作用に優れています。
でも、潤すということは、水を足すということ。
体に必要な潤いも、摂りすぎると体を冷やしたり、“湿” を溜め込んで不調につながることも。
例えば、
- 胃腸が弱っているとき(=脾が弱い)
- 湿度が高い季節や土地(=沖縄や梅雨どき)
- 体が重だるい・むくみやすい・お腹がゆるいとき
には、魚の潤い作用が逆に、体の湿を増やしてしまうこともあるんです。
乾きも湿気もバランスよく整えてくれる豚
沖縄では、魚だけに偏らず豚を食べたり、温める薬味と組み合わせてバランスを取るようなお料理がたくさん見られました。
薬膳的に見て、豚肉は「潤して、でも湿を溜め込みにくくて、気を補う」食材。
五臓を整え、乾きも湿気もバランスよく整えてくれる存在なんです。
昔から伝わる“養生”の知恵
沖縄には、「豚は鳴き声以外すべて食べる」といわれるほど、豚のあらゆる部位を食文化として取り入れてきた背景があります。
ラフテー、ソーキ、ミミガー、チラガー…。
見た目はユニークでも、薬膳的には「五臓六腑に働きかける部位別のケア食」なんです。

そして、それらの料理には必ずと言っていいほど、しょうが、よもぎ、にんにく、島らっきょう、青パパイヤなどの、体を温め気を巡らせる薬味や野菜が添えられています。
巡らせる、消化を助ける、湿を排出する。
自然なのか意図的なのかはわかりませんが、沖縄で見かけたお料理のほとんどが、薬膳的に理にかなった組み合わせでした。
外は暑くても、内臓は冷えやすい?
ちなみに、沖縄のような亜熱帯で暑い土地にいると、「内臓まで暑そう」と思うかもしれませんが、実は逆!
- 暑いからこそ、冷たい飲み物やフルーツをとりがち
- 冷房と外気の温度差で、お腹まわりが冷えやすい
- 湿気が多いと、体内を温めるエネルギーを作る胃腸の働きが弱くなりやすい
暑い環境だからこそ、内臓は冷えやすくなるんです。
本州で生活している私たちも、実は、夏ほど“内臓の冷え対策”を意識した方が良いんですね。
- しょうが、にんにく、島らっきょうなどの“温める薬味”
- 沖縄味噌や発酵食品などの“消化を助ける食材”
- 黒糖や泡盛などの”温める調味料”
暑いからといって体を冷やしすぎず、巡らせながら整える。
このような沖縄の食生活には、夏を健康的に乗り切るヒントを得られるのではないでしょうか。